速読で資格試験の勉強はできるのか?

私は速読講座を開いていますが、参加者の中には結構な数で「資格試験の勉強をしている」という方がいます。大学生や大学院生で、膨大な教科書を読まなければいけないという人もすくなくありません。普通に読んでいたら時間が掛りすぎてしまい、効率よく勉強することができないので、速読を身につけたい、という動機です。

果たして、速読は資格試験の受験勉強に役立つのでしょうか?

結論を言うと、「速読だけで資格試験の勉強は無理だが、速読は大変有用である」ということが言えます。

まず、「速読だけで資格試験の勉強は無理」というのはどういうことかというと、そもそも資格試験のテキストと一般的な書籍とでは読む目的がまったく違う、ということです。

一般的な書籍の場合、それがビジネス書であれ実用書であれ小説であれ、細かい内容について「覚える」ということは必要ありません。例えば、有名な「7つの習慣」という本がありますが、「7つの習慣をすべて答えよ」などという問題が与えられることは無いわけです。関心の程度や必要性の軽重によってどれぐらい深く読むかは本によって変わりますが、それでも「大意がつかめる」「結論を自分なりの考えで話せる」「仕事の現場や実生活に応用することができる」ことが目的であり、個々の具体的な内容を「覚えて」いても何も意味が無いのです。

資格試験のテキストでは、そのような読み方ではまったくダメであることは言うまでもありません。法律の条文や判例、様々な要件、制度、その他、その試験で問われることを「正確に覚える」必要があるわけです。曖昧な記憶ではまったく歯が立たず、場合によっては条文を一言一句暗記するレベルで覚える必要があります。

このような目的のためには、絶対に熟読、それも極めて丹念な熟読が必要であり、「速読だけで資格試験の勉強は無理」なのです。

一方で、「速読は大変有用である」であることもまた、事実です。速読というのは、基本的には「大意をすばやくつかむ技術」ですので、「本格的に勉強を始める前に、テキストをざっと通し読みする」時に速読が役立つのです。テキストを最後まで、さっぱり理解できないまでもとりあえず読み通すことで、うすぼんやりとでも全体像が見えてきます。それを、2回~3回通し読みすることで、大まかな考え方や専門用語などにもだんだん「馴染み」が出てくる。それから「勉強」モードに切り替えて、丹念な熟読や問題集の取り組みなどを行っていくことで、より効率よく勉強することができます。

さらに、どんな試験でも「復習」が大事になりますが、この段階でも速読が役に立ちます。すでに一度しっかりと勉強しているので内容はわかっていますから、それなりのスピードで読んでも理解できます。復習は「回数」が勝負ですから、普通の人が3回しか復習できない間に4回復習できれば、その分有利になります。

つまり、資格試験の勉強の基本は、「速読で全体像をつかみ、熟読で覚え、速読で復習する」ということになります。

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